腕時計の電池交換(補足その1)

雑記

こんにちは。

 

 

 

当ブログで腕時計に関する記事を書くキッカケとなった友人から、早速時計を預かったので作業に取り掛かりました。

それにちなんで、(もしも自身で電池交換をしようと思い立った人がいた場合に備えて)作業時の注意点をあれこれ列挙しようと思います。

いわゆる“お節介”とか“先輩ヅラ”ってやつですね。

 

 

 

 

 

 

今回預かった時計は4本で、そのうち1本が以前の記事で紹介した“スクリューバック”、残る3つは“スナップバック”のフタ。

 

 

…早速画像を撮り忘れた事に気付いて意気消沈しておりますが、このスナップバックって作業時にややクセがある割に流通量が多いという、少し難しい構造だったりします。

 

 

 

前回の記事で載せた画像。ちなみにコレは筆者の私物です。

上の画像にあるようなフタの隙間に、“こじ開け”という薄い鉄板みたいな工具を突っ込んで開けるのですが、この隙間の位置とフタの閉(締)まり具合が時計によってまちまちなので、油断すると簡単に傷が入ったり、こじ開けをダメにしたりします。

 

それに加えてスナップバックの場合、「開けたは良いが、フタが閉まらない(人力で閉められない)」なんて事がしょっちゅうあります。

 

 

 

「字が汚い」って?
だってタッチペン持ってないもん。指で書いてるもん。

もしフタが手の力で閉められない場合、2枚目の画像のような「常に輪になる時計」だと後々詰む可能性があるので、出来ればフタを開ける前に…、

 

 

 

腕時計用万力を用意して…、

 

 

 

バンドの裏に刻まれている矢印を下に向けて…、

 

 

 

バンドの連結部分と万力の穴の位置を合わせ、バンドに傷をつけない為に適当なビニールと一緒に固定して…、

 

 

 

バンドの連結部分のピンに“ピン抜き”を当てて、矢印の方向に目掛けてハンマーで優しく少しずつコンコンと叩き、ピンを抜いて「輪ではない状態」にしてやります。
画像で使っているのは“ピン抜き”ではなく“バネ棒外し”という似て非なる道具ですので、出来ればピン抜きで作業してね。

 

 

 

 

…ただ、ここで警告。

少々説明が複雑なのでここでは割愛しますが、この“ピンを抜く工程”は「上の手順通りに行うことで時計を壊す場合がある」ので、この文章を見て少しでも不安を感じた人は電池交換を一旦止めましょう。

次回、文字数に余裕があればソレも説明します。

 

 

 

 

輪ではない状態にしてあげると、もしも「フタが固くて閉まらん…」という事態に陥った場合、上の画像の“蓋閉め機”を使ってフタを閉めることが出来るだけでなく、「バンドが邪魔ではなくなる」ので、そもそものフタを開けたり電池を取り出すなどの作業が楽になります。

 

尚、この蓋閉め機ってそこそこ値段するので、コレ買うくらいならお店で電池交換をお願いした方が安いです。

 

 

 

 

そこを踏まえた上で、(スクリューバックを含む)4本共フタを開けていって…、

 

 

 

 

ハッハッハッ、元時計店従業員からしたら容易いもんよ。

 

コレでムーブメントが見える状態になりました。

 

余談ですが、1枚目と3枚目の画像を見てみて、時計のムーブメント(心臓部)が全く同じ形をしているのに気付きましたでしょうか。

これは「大量生産されているムーブメントを使用することで、時計そのものの製造コストを大幅に下げている」という理由から。
尚、1枚目と3枚目の画像の時計はそれぞれイタリアとスイスのブランド。
傍目には「同じムーブメントが使われている」とは思わんでしょう。

 

 

 

んで、ムーブメントにくっついている電池を取り出す、または取り付ける際、素手はNG(※)なのでピンセットを使うのですが、
(※素手がNGの理由としては、皮脂が付着するとムーブメントの動作が狂ったり、最悪の場合破損させることがある為。)

 

 

 

電池をピンセットでつまむ時は、こんな風に「電池の横をつまむ」のが理想的。

 

 

 

状況によっては、上の画像のように「上下からつまむ」方が楽な場合もありますが、コレをすると「ピンセットを介して電池がショートして、電池の残量が一気に減る」という勿体無い事態に陥ります。

 

画像ではプラスチック製ピンセットを使っているのでショートしませんが、普段から横でつまむクセをつけておけば、万一金属製ピンセットで作業をしても問題ナシ。

「最初からプラスチック製ピンセットを使ってれば良いんでね?」と思ったアナタ。
それだけでは工具の強度的に力不足な場合もあるのです。

 

 

 

外した古い電池は、品番を確認した後に表面の状態も見ておきましょう。

 

たまに「外した電池が液漏れしている」なんてこともあり、こういう場合はその漏れ出た液体でムーブメントそのものにダメージを与えている場合も…。
画像中央の電池に“白い粉っぽいモノ”が付着しているのが見えると思いますが、これが漏れ出た電解液の成れの果て。

 

電池切れの時計を放置していた時間が長いほど液漏れしやすい傾向があるので、止まってしまったら早めに電池だけ引っこ抜くか、あるいはお店に持って行って交換をしてもらいましょう。

 

 

 

 

 

 

ここまでお読み頂いた方であれば、恐らく「…これって割に合わなくね?」とお思いでしょう。

 

〜その通り。
自分でちゃんとした工具を揃えて作業しようとすると、工具だけで容易く一万円以上掛かります

・何でも自分でいじるのが好き
・クォーツ式腕時計を何本も持ってる

〜という人でもない限り、余計な出費が嵩むだけ

…割に合わんでしょう?

 

「それでも電池交換を自分でする、いいや、してみせる!」という人は、次の記事も参考になるかと思いますので、そちらもお楽しみに。